新しい体

ある日不思議な世界に入り込んだ。


「この世界の女王様にお願いすれば、なんでも望みをかなえてくれるのよ」
ネコと双子が教えてくれた。


わたしはさっそく女王様にお願いした。
「お願いです。
　今のわたしよりずっと強くて丈夫な体をください」


「ええ、簡単ですよ。
　この子に見せてあげなさい。好きなものを選べばよい」
女王様は召使いのうさぎに言った。


うさぎはさっそくわたしに「たくさん沢山ありますよ」
いろんな機能を持った機械な人達を見せてくれた。


「とても強そうなんだけれど、どれもさわったら冷たそう…
　わたしはもう少しあったかい感じのがいいの」


「だったらこんなのはどお？
　冬はあったかいお風呂でぬくぬく
　夏は涼しいお風呂でひんやり」
よく見ると2人の顔がちょっと違う双子がこう言った。


後ろには｛いつでも望んだ食べ物や必要な道具が並ぶ棚｝がついてます。
おふろにはアヒルもいっしょ。


「それは素敵…だけど女王様。
　わたしは自分でお料理を作ったりしたいのです」


「だったらこれはどお？
　体はとっても頑丈で力持ち」


「こんなふうに好きなお料理も作れるわよ」
やっぱり微妙に顔が違う双子が言った。


「さあ、いったいどれがいいの？」
女王様がわたしに聞く。


「女王様、わたしはわたしでいたいのです。
　ほんの少し強くてしなやかな体がほしい
　だけどいつもと同じ毎日を送りたいのです」



「うさぎ、この子はそんな中途半端なものがほしいとは…」
女王様は不思議そうにうさぎに言った。


「女王様、わたしによい考えがあります
　お任せください」
そういって、新しい体を見せてくれた。


「これはどうだい？
　あなたはあなたのままで、パワーアップしてしかもしなやかであったかいのさ」


わぁ、なんて素敵！
わたしはわたしのままで、パワーアップしてしかもしなやかであったかい！


うさぎさんありがとう！
女王様ありがとうございます！


「たいして変わらないのに、あんなのがいいのかねぇ…？」
女王様はうさぎに不思議そうに言った。
「ほんの少し変われることが、いちばん幸せなのでございますよ
　
…あまおう様」


「わたしにはちっともわからない！」
　女王あまおう様は顔を赤くして言った。


そしてわたしは夢から覚めた。

…おしまい…


おまけ

「どうせなら、オプションで固い着るタイプも
　もらっておこうかしら
　いろいろ便利みたいだし…」